研究速報:指点字ロボットの試作-盲ろう者とのリアルタイム会話を目指す-

盲ろう者とのコミュニケーションのための簡易指点字ロボットの製作
盲ろう者とのコミュニケーション手段の一つに指点字がある。
指点字は、読み手の左右3本ずつの指(人差し指・中指・薬指)を、点字タイプライターの6つのキーに見立てて点字を打つものです。
つまり、点字タイプライターを打ち込むときのキー操作を行い、盲ろう者側がタイプライターそのものという位置づけになるといったところでしょうか。
これによって、通常の点字を触察して読み取ることとは異なった方式で文字情報を伝えることができます。
この指点字によってもたらされる最大の特徴を1つ挙げるとするならば、その場の状況に応じてリアルタイムに文字情報を伝えられることにあります。たとえば、通常の点字での出力になると、発せられた音声から点字に変換する際に、分かち書きなどの点字特有のフォーマットに合わせる必要があり、そこには、点字化のための構文解析の処理が必要になってきます。
一方で、指点字では、会話の状況に近い状態になるため、この構文解析を盲ろう者自身が行うことになり、文字を表す音を直接1対1で直接変換出力するだけでコミュニケーションがとれるというメリットがあります。
しかしながら、点字タイプライターを操作できる技能を持つ人はあまり多くいません。そのため、この取組では、ロボットに指点字をしてもらおうと、疑似指点字出力グローブを作成しました。(次の図を参照)
なお、点字出力制御ソフトウェアの開発には、日本語版NVDAの開発チーム代表である西本先生に制御ソフトウェアの開発に必要な資料等を快く提供していただきました。ここに感謝申し上げます。また、この研究では、JSPS科研費18H1038および18H1047の助成を受けて行われています。
指点字ロボットグローブ

指点字出力グローブ

この取組の研究速報は、沖縄県名護市で開催予定の第23回知能メカトロニクスワークショップにて、報告する予定です。興味があれば、このワークショップにご参加下さい。

指点字ロボット全体構成概要図

指点字ロボット全体構成概要図

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